読書

夜明けの街で

東野圭吾先生の「夜明けの街で」を読みました。 軽い読み物。ですが、構成も謎解きも読み終わってみれば、なるほど…という感じで納得。そういう意味では、計算通りに書かれた小説。ある意味見事。 不倫男女の心理については、これもまた見事に書かれています…

ビター・ブラッド

雫井脩介の「ビター・ブラッド」を読みました。 はっきりいって、期待はずれ。もうかなり悲惨。 発表媒体によって、作品の密度とか質に差が出てくるのは、ベテラン作家にもなれば仕方がないとは思います。東野圭吾先生とかけっこう差があるし。しかし、雫井…

楽園

宮部みゆき先生の「楽園」を読みました。 「模倣犯」でピースを“はめた”フリーライターの前畑滋子が主人公。「模倣犯」に感心させられた読者としては、それだけで読まねばなるまい、と思いましたが、「模倣犯」ほどの密度も構成もなく、ちょっと期待はずれで…

花の回廊 流転の海 第五部

宮本輝先生の流転の海第五部「花の回廊」を読みました。 第一部を書き始めたのが宮本輝先生が35歳の時だそうで、ようやく25年を経て第五部まで来ました。 しかし宮本輝先生の当初の計画(?)によると、流転の海は五部作だったはず。1992年秋に書かれた流転の…

リヴィエラを撃て

障汨コ薫先生の「リヴィエラを撃て」をまた読みました。もう4回目くらい。 タイトル通り、白髪の東洋人スパイ「リヴィエラ」をめぐる謎解きなんですが、話が二転三転して、物語の構造がどうなっているんだか、読めないままに、ずるずると引き込まれるというパ…

反転 闇社会の守護神と呼ばれて

元特捜部検事の田中森一さんの「反転」を読みました。反転―闇社会の守護神と呼ばれて作者: 田中森一出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2007/06メディア: 単行本購入: 6人 クリック: 85回この商品を含むブログ (131件) を見る 遅ればせながら、ではありますが、…

満州国演義

船戸与一先生の満州国演義1-2巻を読みました。 風の払暁―満州国演義〈1〉作者: 船戸与一出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2007/04/01メディア: 単行本 クリック: 5回この商品を含むブログ (19件) を見る事変の夜―満州国演義〈2〉作者: 船戸与一出版社/メーカ…

鉄道員

浅田次郎先生の鉄道員を読みました。 この作品で浅田次郎先生が、直木賞を獲ったのが1997年。いまから10年前です。東京會舘の直木賞受賞の記者会見にいきましたが、なんでこの作品が受賞作になったか、よく分かりませんでした。 私も若い時分だったので、質…

悪人

吉田修一さんの「悪人」を読みました。 タイトル名の「悪人」というのは、かなり強い印象を与えています。本も手にとってもらってなんぼ、ですから、その意味では成功。そして最後まで、読み手は「悪人」ってどの登場人物かということに引っ張られて読み終わ…

ミノタウロス

佐藤亜紀先生のミノタウロスを読みました。 ロシア革命の混乱が伝わってきました。ロシア文学っぽい文体などもけっこういけてました。 筆力のある先生です。そのあたりもロシア文学っぽいような感じがしました。ミノタウロス作者: 佐藤亜紀出版社/メーカー: …

シェエラザード

出張中に浅田次郎先生のシェエラザード上・上を読みました。 面白かったけど、なんか物足りない気がしたのは、前に読んだ「月島慕情」が良すぎたからか。 豪華客船・弥勒丸にあまり思い入れが出来なかったからか。 弥勒丸に思い入れをもつ登場人物の思いが伝…

千年樹

荻原浩先生の「千年樹」を読みました。 自分のなかではかなり評価の高い「四度目の氷河期」以来の荻原浩先生の作品です。 芽吹いてから、伐採されるまで、ひとの営みをながめてきた樹齢千年のクスノキの話。短編集です。 クスノキは、芽吹くまでの経緯がちょ…

八日目の蝉

角田光代さんの「八日目の蝉」を読みました。 テーマは、なんだろ。「親子」かしらん。 タイトルの「八日目の蝉」は、みんなと違う自分に感じる不幸せ感を抱えて生きていく、ということをあらわしているのだと思います。 角田光代さんの小説は、「夜を行く飛…

月島慕情

浅田次郎先生の短編集「月島慕情」を読みました。 浅田先生の短編集は、泣けると評判だった「鉄道員」で、泣けずに、敬遠気味でした。 その後、長編「日輪の遺産」とかを読み、長編ならばいけるかもと思いました。 名作「蒼穹の昴」はその後読み、しばらく読…

葉桜の季節に君を想うということ

悲惨な小説。あまりにつまらないので、とっても悲惨。 文春文庫で収録されましたが、これはどうよ、文春さん。 角川じゃないんだから。 この作者の作品はなんだったっけ、なんか読みましたが、基本的に不快な文体。 で、あまりにも見え透いた展開。バレバレ…

中原の虹 三巻

時期をおいて読んでいるからかもしれませんが、「蒼穹の昴」ほど、なんというか物語に入り込めません。 登場人物が拡散しているから、物語が細切れという気もします。 前回は、李春雲、梁文秀が中心で、その周りに西太后や袁世凱がまわっていましたが、今回…

薄闇シルエット

角田光代さんの「薄闇シルエット」を読みました。 男性が読んで、女性心理を理解するのに参考になる小説。結婚しないお姉さま方ってこんな感じだったの、ということがよく分かりました。 曾野綾子先生の小説で「幸福という名の不幸」というこれまた、結婚し…

メタボラ

桐野夏生先生のメタボラを読みました。 桐野先生は、人間の悪意を書かせたら、やはり当代随一。むなくそが悪くなるギリギリのところで、物語を成立させています。 「グロテスク」など、時事的なテーマを取り入れた作品をこれまでにいくつか発表してきました…

一瞬の風になれ

話題作なので読みました。確か、テレビ番組がおすすめしていたような。 キャラのたて方が、少年マンガです。小林まこと先生の「柔道部物語」を思い起こしました。 主人公は、サッカー競技からドロップアウトした高校生。ユース日本代表にも選ばれるくらいの…

ジェネラル・ルージュの凱旋

読みました。なんか絢爛豪華なフレーズ連発で、なんかもう食傷気味という感じです。 「チーム・バチスタの栄光」の時も、空疎なフレーズとピントはずれの隠喩が満載でしたが、登場人物のおもしろさで読めました。 今回は、キャラのおもしろさもなく、ただ医…

水上のパッサカリア

日本ミステリー文学大賞新人賞の「水上のパッサカリア」を読みました。 ミステリー文学と銘打っているからには、本格的な謎解きかものかと思いましたが、ハードボイルドなんですね。しかも作者の海野碧さんは長野県在住の57歳の女性。 楽しく読めました。主…

壬生義士伝

浅田次郎先生の壬生義士伝・上下を読みました。壬生義士伝 上 (文春文庫 あ 39-2)作者: 浅田次郎出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2002/09/03メディア: 文庫購入: 16人 クリック: 152回この商品を含むブログ (156件) を見る 傑作です。こればっかり。でも、…

氷結の森

熊谷達也先生の「氷結の森」を読みました。 樺太と大陸を股にかけた柴田矢一郎の冒険譚ですね。なかなか古風なスタイルの小説ですが、直木賞受賞作の「邂逅の森」よりも物語に広がりがあって、楽しめました。「邂逅の森」は基本的に、クマとの闘いがベースで…

アルツハイマーを知るために

佐藤早苗さんの「アルツハイマーを知るために」が新潮文庫で出ていたので、読みました。アルツハイマーを知るために (新潮文庫)作者: 佐藤早苗出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2007/02メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 7回この商品を含むブログ (6件) を見…

ひとり日和

まとめて、書きます。芥川賞の青山七恵さんの「ひとり日和」を読みました。 東京で一人暮らしを始める女性の気分が伝わってくる感じは感じはします。ただ、それ以上のことはないけど、日常ってこんなもんでしょ、っていわれたら、そうかも、というしかない等…

大統領特赦

グリシャムの大統領特赦を読みました。 ペリカン文書、法律事務所のほうが読みごたえはありましたが、国際謀略的な要素なんかも加わって、面白く読めました。 なんでもしばらく、グリシャム作品は、アカデミー出版の「超訳」で出版されていたようで、新潮社…

下流志向

時間がありあまっていたので、売れている「下流志向」も飛ばし読みました。 下流志向──学ばない子どもたち、働かない若者たち作者: 内田樹出版社/メーカー: 講談社発売日: 2007/01/31メディア: 単行本購入: 6人 クリック: 96回この商品を含むブログ (664件) …

世界の終わり、あるいは始まり

同じ日に買ったこちらの文庫本もいまいち。マルチエンディングという構造ですが、なじめない。それに読後感がとてもよくない。救いがない。子どもの設定にリアル感が感じられない。世界の終わり、あるいは始まり (角川文庫)作者: 歌野晶午出版社/メーカー: …

行きずりの街

志水辰夫先生の「行きずりの街」を読みました。行きずりの街 (新潮文庫)作者: 志水辰夫出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1994/01/28メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 14回この商品を含むブログ (78件) を見る新潮文庫の帯では、「1991年度の『このミステリ…

逸脱者 下

誰が逸脱者なのかしらん、と思っていたら、アティカスが逸脱者だったのね。 ドラマをさして言っているのかと思っていました。 アティカス・シリーズの最新作は今年8月、アメリカで出版される予定。果たしてアティカスは、CIAに依頼されるような暗殺者になれ…