花の回廊 流転の海 第五部


宮本輝先生の流転の海第五部「花の回廊」を読みました。


第一部を書き始めたのが宮本輝先生が35歳の時だそうで、ようやく25年を経て第五部まで来ました。


しかし宮本輝先生の当初の計画(?)によると、流転の海は五部作だったはず。1992年秋に書かれた流転の海第二部のあとがきには「決意」としてこう書かれている。

残り三部を私は五十二、三までに書き上げようと決意した。それは不退転の決意といってよい。「流転の海・五部作」を完結させなければ、私は作家として次の段階に進めないことを自覚したからである。


たしかに五部までは書かれましたが、完結してませんね。


児玉清さんとの対談で宮本輝先生は、「松坂熊吾は実は伸仁が二一の時に死ぬんですけど」と話していますが、第五部で伸仁は十一歳の小学六年生です。もうさすがに、第五部のあとがきでどのくらい続くかについて宮本先生も書いていません。これはもう、終わらないんじゃないですかね。


これからペースを上げて4年ごとに発表していったら、20年後に宮本先生が80歳で第十部ということに。これはさすがにきつそう。75歳まで元気にお書きになるとして、あと2〜3作が限度では。勝手な見方ですけど。


「花の回廊」の作品自体は、いつもの熊吾調というか含蓄ある会話が続いて、味わい深い作品でした。第六部も期待しております。


流転の海 第5部 花の回廊

流転の海 第5部 花の回廊


追加 8月14日朝刊の読売新聞朝刊に宮本輝先生のインタビュー記事が掲載されました。


今後の流転の海は、伸仁の中学、高校、大学を一部ずつ書くとのこと。結局8部で完結。これを60代のうちに書き上げるとのことでした。