読書

仮想儀礼

篠田節子先生の「仮想儀礼」を読みました。 新宗教にのめり込む人間の心理構造が非常に筋道立てて書けていると思います。仮想儀礼〈上〉作者: 篠田節子出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2008/12/01メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 44回この商品を含むブ…

数学的にありえない

「数学的にありえない」 SF? ちょっとついていけない部分がある。最後のほうは飛ばし読み。数学的にありえない 上作者: アダムファウアー,Adam Fawer,矢口誠出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2006/08/28メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 33回この商品…

横道世之介

吉田修一先生の横道世之介を読んだ。現代の「太郎物語」を思わせる秀作でした。横道世之介作者: 吉田修一出版社/メーカー: 毎日新聞社発売日: 2009/09/16メディア: 単行本購入: 5人 クリック: 149回この商品を含むブログ (122件) を見る村山由加先生のダブル…

身の上話

佐藤正午先生の「身の上話」を読みました。 構造から読み解くことが多いのですが、最後の最後まで、これがどんな種類の「告白」なのか分からなかった。意外とというか、やられたというか… 宝くじで2億円を当選させてしまったゆえに、ある女性の身の回りに起…

犬の力

古川日出男作品のような語り口。あまり構成を考えずに書き進めている感じ。もう少し丁寧な感じで進めてほしいが…犬の力 上 (角川文庫)作者: ドン・ウィンズロウ,東江一紀出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)発売日: 2009/08/25メディア: …

新参者

東野圭吾先生の新作。構成、内容、謎解きすべてに文句なしだが、それ以上のものを期待してしまうと、物足りなさも。すごい、とは思えない。読んで損はないが、なにか足りないような…新参者作者: 東野圭吾出版社/メーカー: 講談社発売日: 2009/09/18メディア:…

グラーク57

グラーク57、前のチャイルド44のほうが面白いかも。チャイルド44 上巻 (新潮文庫)作者: トム・ロブスミス,Tom Rob Smith,田口俊樹出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2008/08/28メディア: 文庫購入: 30人 クリック: 1,008回この商品を含むブログ (225件) を見る…

ドーン

平野啓一郎先生のドーンを読みました。 初めて平野作品を読みましたが、構成や舞台装置、小道具、人物などはきちっと用意して書くタイプのように思えます。 「散影」というシステムはありうるかも。いまでもグーグルに名前を入れるとぞろぞろと足跡が出てく…

沖で待つ

絲山秋子さんの「沖で待つ」「イッツオンリートーク」を読みました。結婚しない男の悩みは小説になりませんが、同様の女の心情は作品になるんだと思います。男の悩みはつまらんけど、女の心情は他人が読んだり、聞いたりしても興味深いということですかね。 沖で待つ (…

骸骨ビルの庭

宮本輝先生の「骸骨ビルの庭」を読みました。 戦後の経済的危機で親から捨てられた多くの子どもたちを育てた男の物語。性的虐待を育てた女の子に加えていたという汚名をぬぐおうとする動きが軸になって、大人になったかつての「子どもたち」が男について語る…

死に神を葬れ

帯の推薦文は嘘っぱち。読み始めてそうそうだめだな、という感じ。えー編集は池袋ウエストゲートパークを意識していたのかしらん。 死神を葬れ (新潮文庫)作者: ジョシュバゼル,Josh Bazell,池田真紀子出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2009/07/28メディア: …

プリズン・トリック

序盤に期待を抱かされ、中盤に違和感を感じ、終盤で裏切られた感じ。選評が大変参考になります。その通り、だと思う。江戸川乱歩賞もあんまり乱発できないと思いますけど。 序盤の謎の設定でしかし、最後まで読まされました。そういう意味では成功かも。しか…

太陽を曳く馬

晴子情歌、新リア王、そして「太陽を曳く馬」と続いた三部作。ほとんど前2作の内容は覚えていません。 それだけ内容がわからなかったし、高村薫先生の意図するところが察することもできなかったわけですが、今回もそれに輪をかけて難解です。仏教哲学小説で…

運命の人

山崎豊子先生の「運命の人」1-3を読む。 御年いくつか知らねど、精力的なお仕事ぶりですが、紋切り型のフレーズの連続ぶりにうんざり。 外務省の秘密電文漏洩事件についての一側面についてはよく分かりました。西記者側から見た事件については。運命の人(一)…

IN

桐野夏生先生の「IN」を読みました。 テーマは「作家」? 面白いことは面白いんですけど、作家ゆえに背負った業というものが一般人からすると「だからなに?」という感じ。 共感はできないし、分からない。面白いことは面白いけど、面白さはやはり「○子」は…

錦繍

宮本輝先生の錦繍を読みました。やはり宮本輝先生はすごいなあ、と思いました。宇宙の不思議なからくりってよく分かりませんが、後になってみると、あれは宇宙のからくりだったのかと思うようなことって誰しもあるような気がします。これによって人生は彩ら…

海岸列車

宮本輝先生の「海岸列車」を読みました。 毎日新聞に1990年代初めに連載されたようですが、会話の言葉が古くさいところがマイナス。「〜ですわ」「〜ですの」なんていっている女性はいません。宮本先生の女性像がよく分かります。 いい年をしたおとなが、安…

パラドックス13

東野圭吾先生のパラドックス13を読みました。 東野先生は出版社によってかなり出来が違うので、心配していましたが、毎日新聞はだめだったようです。パラドックス13作者: 東野圭吾出版社/メーカー: 毎日新聞社発売日: 2009/04/15メディア: ハードカバー購…

隠蔽捜査3

今野敏先生の隠蔽捜査3。さすがに手慣れたもんです。以上。疑心―隠蔽捜査〈3〉作者: 今野敏出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2009/03メディア: 単行本購入: 4人 クリック: 31回この商品を含むブログ (39件) を見る

砂の器

松本清張の「砂の器」を読みました。 宮部みゆき先生の「火車」に似たプロットかな、と思いましたが、こちらのほうが本家なんですね。宮部先生がまねしているというわけではないでしょうが。 古さはありましたが、さすがに最後まで楽しめました。映画も見ま…

夕映え天使

浅田次郎先生の「夕映え天使」を読みました。 あんまり面白くなかった、以上。夕映え天使作者: 浅田次郎出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2008/12メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (11件) を見る

兵士になれなかった三島由紀夫

「兵士に聞け」シリーズの最後の締めくくりらしい。しかしもう時代は「兵士に聞け」という時代ではなくなってしまいました。米国の軍事的庇護から日本は抜け出すべき、とはとても思えず、このまま庇護の傘のもとでなんとかごまかしたいという感じがしますね…

ミレニアム

スウェーデンのベストセラーというふれこみ。う〜ん、スウェーデンのベストセラーといっても、よくわからず。 出だしはたるいけど、下巻になるといよいよ面白く、これはいい作品かも。 作者は四作目で亡くなったとのこと。残念ですが、三作目までは読みます …

森で眠る魚

こちらは角田光代先生の同じく意欲作。 お受験ママたちの心理的バトルというとそれだけで終わってしまいますが、それ以上に主婦の鬱屈というか都会のママたちの心理を描いているような感じ。 角田先生は、ハートウォーミングな作品も十分面白いけど、最近は…

最近、ぜんぜん読書記録をつけていなかったので、まとめて書きます。 三浦しをん先生の「光」は、意欲作。三浦しをん先生というと、BLとおぼしき設定などが目につきましたが、今回は、桐野夏生先生ばりの悪人だらけの作品です。 新境地ひらいたなあ、とい…

三浦しをん先生の「光」を読みました。 新境地という感じ。人間の悪意を描くという点では、桐野夏生先生を思わせましたが、今回の出来は「光」のほうがいいかも。日常生活のなかの悪意を感じさせた点で軍配か。光作者: 三浦しをん出版社/メーカー: 集英社発…

病院の品格

川渕孝一先生の「病院の品格」を読みました。 ふざけたタイトルですが、川渕先生の従来からの主張が満載で面白い本です。医療機関がすすんでデータの公開をすすめることはは必要ですね、本当に。 病院の品格作者: 川渕孝一出版社/メーカー: 日本医療企画発売…

還るべき場所

登山のリアリティは伝わってきます。しかしストーリーの展開に少し無理かあるかも。人物の造形もいまいち。こんなヤツはいないような… 還るべき場所作者: 笹本稜平出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2008/06/13メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 4回この…

オリンピックの身代金

奥田英朗先生の「オリンピックの身代金」を読みました。 普通の青年がテロリストにならざるを得ない状況になっていく様を描いているという点では、高村薫先生の照柿とかレディジョーカーを彷彿とさせます。奥田先生はその点、読み物の書き手としては巧みな作…

日本は財政危機ではない

高橋洋一先生の「日本は財政危機ではない」と長谷川幸洋先生の「官僚との死闘700日」を読みました。 日本は財政危機ではない!作者: 高橋洋一出版社/メーカー: 講談社発売日: 2008/10/10メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 27回この商品を含むブログ (26件…