ビター・ブラッド


雫井脩介の「ビター・ブラッド」を読みました。


はっきりいって、期待はずれ。もうかなり悲惨。


発表媒体によって、作品の密度とか質に差が出てくるのは、ベテラン作家にもなれば仕方がないとは思います。東野圭吾先生とかけっこう差があるし。しかし、雫井先生は、「犯人に告ぐ」とか「クローズド・ノート」が評価されたかもしれませんが、まだまだ駆け出したばかり。一作一作が勝負のはず。それがこの小説では、もうだめかも。


ダメな点を箇条書き。

  1. ジャンルが読めない  父子デカのコメディか、犯罪謎解きものか。父子の絡みで売りたいならば、それを本線に物語を組み立てるべきなのに、そうでもなし。父は単なる脇役。にぎやかし以上ではない。
  2. 物語の推進剤がない  「謎」が物語の駆動装置になっていない。というかそもそもの「謎」かけの存在感がうすく、退屈。後付でどんどん追加される感じ。物語の構成もなっていない。
  3. 父子和解かよ  これもまたとってつけたような和解劇。物語の本筋に絡ませた和解ならまだよかったのに。


犯人に告ぐ」でもう終わったかな。

ビター・ブラッド

ビター・ブラッド


【おすすめ度 五つが満点】★(楽園が★★というのは辛すぎたかも)