アルツハイマーを知るために


佐藤早苗さんの「アルツハイマーを知るために」が新潮文庫で出ていたので、読みました。

アルツハイマーを知るために (新潮文庫)

アルツハイマーを知るために (新潮文庫)


国内の認知症の高齢者は、150万人くらい。これが2025年くらいには、倍近い数まで増えるんですね。認知症には、脳梗塞を繰り返して脳の機能が衰えていくタイプと、アルツハイマー型がおもにあります。この二つの要因がミックスされたタイプの認知症もあります。


脳梗塞に原因があるタイプの認知症は、食習慣などの生活指導が功を奏して減少傾向にありますが、アルツハイマー型の認知症は、増えています。80代の高齢者だとかなりの割合で、アルツハイマー型の認知症が見られるようです。そのため、アルツハイマー型の認知症対策が全世界的に進められています。


現在、アメリカ、ヨーロッパ、オーストラリアで、アルツハイマーアルツハイマーを発症する前段階(軽い記憶障害)、正常者の大規模調査が行われています。日本でも今年後半から、同様の大規模調査が行われる予定です。


J-ADNIというのがこの大規模調査の名称です。だいたい300人の軽い記憶障害の高齢者、150人のアルツハイマー患者、150人の健常者を全国26の病院で登録し、2−3年にわたり、追跡調査を行うというものです。6か月ごとに、MRI、PET
などの脳内の画像のほか、血液、脳内をみた髄液などの採取も行う計画になっています。


目的は、軽い記憶障害の人がアルツハイマーに移行するかしないかの分かれ道を探ること。移行する人は画像か血液か髄液になんらかのサインがでるだろう、というわけです。この分かれ道を分析することで、アルツハイマーの予防や根治薬を開発できるかもしれないと医師や関係者は、期待しています。


アルツハイマーは本人の心がけや周りの働きかけで、発症を遅らせたり、進行を進まないようにできることが分かってきています。いまの現状は、アルツハイマーの予防や周りの働きかけは、エビデンスがいまいちあやふやだったり、不徹底だったりして、すべての介護、医療の現場において、十分な効果がでているとはいえないと思います研究によってアルツハイマー患者や家族に恩恵がでればいいのですが。