佐藤優氏と櫻井よしこ氏


櫻井よしこさんが、佐藤優さんの著書「国家の罠」にいちゃもんをつけて、
国家の罠」が新潮社の新潮ドキュメント賞からはずれたのは、昨年秋のこと。
国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて


いまさらの話題で、しかも当時から櫻井よしこさんは、
こまった方だわーという声は、いろいろ出ていたと思う。


しかし、いまだに櫻井よしこさんの人気は高いので、竹島の問題をめぐる
佐藤優さんと櫻井よしこさんのコラムを比較してみようと思った次第。


中村正三郎さんがブログで書いているように
その実力差は歴然という感じ。


週刊新潮 4月27日号「日本ルネッサンス
「金正日打倒で日韓は協力せよ」から引用

韓国側は日本の調査船を拿捕すると言うが、日本の排他的経済水域や領海での日本の公船による調査活動を阻止、臨検、或いは拿捕する管轄権は、彼らにはない。日本はどうするのか。大人の対応をするしかないと述べるのみだ。


櫻井よしこさんはこの後、
竹島周辺の海洋調査を揺るがず、行うべき、として文章をしめています。
「こうしろ」とか「ああしろ」とか「べき」論が多いんですね。
主張するのは、もちろんいいんですけど。


で、佐藤優さんは、こんな感じ。
佐藤優の「地球を斬る」4月27日付け
「対韓外交の勝利」から引用

今回の交渉で谷内次官が「両国は日韓のEEZ境界画定協議を五月中にも再開する」と合意してきたことが重要だ。領土画定すなわち国境線を明確にしないままEEZを画定することはできない。これまでの韓国政権ならば、玉虫色の妥協も可能であったろうが、反日ナショナリズムを権力基盤の道具とする盧武鉉政権は玉虫色解決を拒否するであろう。この韓国の強硬姿勢を逆手に取るのだ。


領土問題の存在を韓国に認めさせる糸口を作ったということで、
今回衝突を回避した日韓交渉は、ひとまず成功という見方を示し、
さらに、今後の交渉で、韓国を竹島を問題として
外交文書に残せるようになればいいという考えを示しています。


ようするに、櫻井よしこさんは、材料があんまりないのに、
主張が全面に出ている人。
佐藤優さんは、現場を離れながらも、まだまだ生きている現場感覚にもとづいて
専門的な見方を提示してくれる人。
ということがいえると思います。


櫻井よしこさんのコラムは、まだ日韓交渉が決着していない時に
書いたものなので、その分、主張を全面に出すしかなかったともいえますが、
その次の週刊新潮の連載で書いていたのは、
「中国が日本に軍事侵攻する日」という、これまたすごい内容だったので、
あんまり影響ないかな、とも思っています。


どんなもんでしょうか。
実力差が存在するかしないかそれ以前の問題だって ?
そういう見方もありますね。スタンスがまったく違うわけだし。