照柿・文庫版

照柿・文庫版を読みました。照柿(下) (講談社文庫)照柿(上) (講談社文庫)


高村薫先生の照柿の初版が出たのが、1994年7月15日の日付になっています。


あれから12年ぶりの改稿の文庫版ですって。「マークスの山」の文庫版も読み比べましたが、マークスの山は改稿成功かな。そして、照柿はというと、まあいいところもあり、そのままにしておいたほうがいいものもあり、という感じでしょうか。


マークスの山は、文庫版のラストは、いい感じでした。すっきりとしていて。そして照柿は、というと、まあ、あんまり変わりないなあ、というのが一つ、合田雄一郎の最後のセリフが言い過ぎどいうのが一つ。ペコちゃん吾妻のほうがラスト登場する単行本版のほうが好きだったというのが、もう一つという感じです。


まあ、ほとんど、大勢に影響はないんでしょうが、けっこうそういう意味で読むと、面白いです。


ああ、合田雄一郎は、この後、所轄署にいったんだったっけ、と思って、「レディ・ジョーカー」まで引っ張り出しました。高村薫で唯一、複数作品に登場する合田雄一郎ですけど、あんまり人間的には成長しないって言う感じがします。それは全編通じて。まあ、これも高村薫なりのリアルな小説かもしれませんが。


とにかく、照柿は、高村薫の研究家にとっては、注目かも。