エレベーター業界の欠陥隠し

産経新聞によると、死亡事故を起こしたシンドラー社はようやく、ミスを認めはじめました。

シンドラー製52台にプログラムミス 事故機は「該当せず」
東京都港区のエレベーター圧死事故で、製造元の「シンドラーエレベータ」が、ドアが開いたまま昇降するプログラムミスのあるエレベーター52台を国内で過去に出荷していたことが16日、分かった。シンドラー社が会見で明らかにした。だが、事故機には「ミスはない」としている。


しかし、この問題で深刻だと思うのは、エレベーターには自動車と同じようなリコール制がないことです。メーカーが自社製品に欠陥を見つけたとしても、国や自治体など行政機関に届けなくてもいいのです。制度がないから。エレベーターの欠陥は闇から闇です。


エレベーターの主な国内メーカーは、三菱電機日立製作所東芝エレベータ日本オーチス・エレベータフジテックの五社です。シンドラーは、その他大勢扱いです。で、エレベーターのメーカーは、それぞれ自社または系列の子会社などで自社のエレベーターの保守管理をやっています。だから、欠陥が見つかると、点検とかの時に、利用者または所有者にだまって、直してしまうのです。


直すんだからいいんじゃないか、と思う人も多いでしょうが、なんかの事件と似てませんか。そう、三菱自動車リコール隠しと同じですね。だまって直すという意味では。三菱の場合は、リコールという制度がありながら、国交省にとどけないで、だまっていたから、けっこうなペナルティを払うことになりましたが、エレベーターもようするにやっていることは同じなわけです。


エレベーターは、建物の所有者と同じはずです。エレベーターは、別にリース契約でもなんでもありません。しかし、実質的には、メーカーの管理下に置かれているのですね。


メーカーと関係がない独立系の保守管理会社も、だいたいエレベーター全体の1割程度を点検・管理しているといわれています。メーカーは「独立系の保守管理会社はちゃんと管理能力があるのか心配」とかいっていますが、なんのことはない、自分たちが危ない情報を知らせていないからやばい、と内心心配しているに過ぎません。自分たちが販売した製品の欠陥の情報を世間に周知しないから「独立系は危ない」といっているのです。


エレベーターメーカーは、調整のためのマニュアルも、電気図面も、エラーコードも、外部に手渡そうとしません。たとえ、エレベーターの所有者に対しても、です。家電製品を買って、説明書はわたさない家電メーカーが、世界のどこにあるというのでしょうか。それとも、エレベーターは、家電とかと違うから、というのでしょうか。


マニュアルをわたさないことについて、三菱とか、日立とか、東芝とかのメーカーは、著作権が侵害されるから、とかなんとか、いっていますが、利用者の命よりも自分たちの知的所有権が大切といっているかのようです。


さて、エレベーターメーカーは、これに反論できますか。