新世界より


貴志祐介先生の「新世界より」を読みました。即買いです。


貴志先生といえば、「黒い家」です。「黒い家」の最後で殺人おばさんから追いかけられるシーンは、かなり背筋がおぞぞという感じ。「新世界より」は、この時の追いかけられる描写がけっこう思い起こされました。しかも新世界より」は、この追いかけられるシーンが多い。そういう意味でも必読だと思いました。


しかし貴志先生の作風の幅の広さには、驚かされます。前作の「ガラスのハンマー」は、本格ミステリーでしたけど、今回はSFファンタジー。しかも設定は緻密このうえなし。「青の炎」では、泣かされましたが、今回も泣きはしませんでしたが、すごいなーと感じ入りました。上巻の最後くらいで。


新世界より」は、寓話的な要素をもった小説です。1000年後の日本という視点から現代の異常さを描きながらかつ、他の生き物を犠牲にして生き続ける人間という罪深さ、人間そのものの野蛮性なども浮き彫りにしていきます。


「バケネズミ」と言うアイデアを考え出しただけでもすごいなあ、と思いますね。


嫌悪感を抱く読者もいると思います。血とか霧状になってますから。バケネズミという設定も最後まで読み通すとかなりひどい物語だと思いました。最初から知っていたら抵抗して読み通せなかったかもしれません。しかしこれは、名作であり、問題作ですね。映像化、アニメ化は不可。絶対に。本を買って小説として読むしかない。これも貴志先生の狙いなのかも。


新世界より (上)

新世界より (上)

新世界より (下)

新世界より (下)