謝れども、謝れども…
「従軍慰安婦」とは、戦後に広まった言葉で、新聞解説などによると、作家の千田夏光さんが1973年に出した本「従軍慰安婦」との影響が大きかったとのことです。従軍というから、もう軍隊とともに各地を転戦する売春宿のイメージがついてしまうんですね。そりゃ「強制」された性奴隷だろうと。アメリカ人ならずとも、ヤバイイメージです。
千田さんの著作に、戦争中に勤労奉仕団体の「女子挺身隊」から、慰安婦にコンバートされた朝鮮の女性たちがいたという記述があり、これをどうも一部の全国紙が後日、「事実」として報道してしまい、従軍慰安婦=強制された性奴隷に結びついたようです。
これは、わかりやすいイメージです。読者にしっかりインプットされます。このわかりやすいイメージをひっくり返すのは並大抵のことではありません。
ともかく「従軍慰安婦」は歴史的な事実として存在していましたが、日本政府が、朝鮮半島を初めとしたアジアの女性を「強制的に連行」したことを示す資料は、91年から93年にかけて集中的に行われた政府の調査では見つかっていません。
だから米下院の日本政府の謝罪を求める慰安婦決議は、事実誤認に基づく非難であって、不当なものです。
とかいっても、米下院を動かしたのは、中国系のロビー団体だというんだから、もうこれは政治問題なんですね。
だからいくら、この決議を受けて、首相が謝ったって、中国、韓国政府は許してくれないと思います。
よくいるじゃないですか、謝れども、謝れども「誠意が足りない」とか「目が笑っている」とかなんくせつけて困っている相手をいたぶる被害者が…
ようは相手が謝るのを見て、自分のプライドを満たしたいんでしょう。
自国民に対するナショナリズムの昂揚、対日外交において永遠にきれる歴史カードという内外の政治的な効果もお安くはかれるわけです。
戦後、日本政府の失策は、このあたりの被害者心理を見誤ったことにあるような気がします。
安倍晋三首相は、米下院の決議で「謝罪」するのでしょうか。
年金火の車だし、参院選近いし、結果によっては退陣なので、まったく相手にしている時間はないと思いますが、3月の参院予算委員会では、質問に対して、次のように答えています。
3月5日読売新聞夕刊
安倍首相は、いわゆる従軍慰安婦問題で、日本政府に謝罪を求める決議案が米下院に提出されていることについて、「決議があったから、我々が謝罪するということはない。決議案は客観的な事実に基づいていない。引き続き理解を得るための努力を行っている」と述べ、仮に採択されても、政府として謝罪する考えのないことを強調した。
日本政府は、公式謝罪してもいいけど、中国、韓国にも「この問題を蒸し返さない」との公式コメントをだしてもらってください。
でもだめなんだろうな、ずっとねちねち、やられるな。たちの悪い被害者ってそういうもんだから。