ゲド戦記 初めからネタバレ

映画の日だったので、ゲド戦記、観てきました。初めからネタバレになりますので、嫌な人は読まないように。








点数をつけるとしたら、55点から65点。100点満点で。私にとって、100点は、天空の城ラピュタと エウレカセブンの1-3話です。初監督としたら、まあ、合格点ですが、作品的には、物足りないな、というところです。


まずよくない点から。(1)ストーリーとしての軸がない。リリースによると、ゲドは均衡が崩れた世界の原因を探る旅にでているらしいですが、「世界の均衡」とはなにかがまず分かりません。光と闇、生と死が均衡なんでしょうが、映画の最後まで観ても、その原因とやらが分かりませんでした。父親の宮崎駿の初期だったら、もっと筋の通った、観客をひきつける軸を考えて、中心に据えたはず。追いかけごっこでいいし、単純な謎解きでいいのに、考えすぎだと思う。


(2)キャラが弱い まずゲドは、大賢人で魔法使いの頂点にあるはずなのに、それらしいシーンがない。演出手法からいったら、これはバカだと思う。魔法を使っているシーンは、劇中4回。しかもしょぼい魔法ばかり。カタルシスがえられる魔法のシーンが少なくても一回はほしいところ。


(3)登場人物が少ない。これはもう、宮崎吾朗監督の力量が足りない。ラピュタは、少なくてもこれだけの登場人物が活躍している。メインでバズー、シータ。敵役でムスカ。脇を固めるドーラ一家。そして軍隊、将軍。力自慢の親方もいたな。ゲド戦記では、アラン、テルーがメインで、敵役にクモ。脇役にクモの手下。ゲドはなんの役だったんだか。ようするに、ユーモア担当のキャラがいない。だから作品全体に、おもしろみがない。


では、よかった点。(1)テルーの歌はよかった。これは間違えない。ジブリ作品の挿入歌では、ナンバーワンの存在感です。
(2)それなりの映画のスタイルをとっていた。当たり前というかもしれませんが、日本映画って、この当たり前のことも出来てない作品が多いです。そういう意味で及第点。ゲド戦記の物語の軸は中頃まで来て、ようやくクモという魔女とゲド、アラン、テルーの対決の話なんだということに気づき、いちおうその筋で物語は、まとめられた。


まとめ。ゲド戦記は、宮崎駿の「シュナの旅」をデザイン原案にしてますが、結局、吾朗監督は、父親の枠内で映画を作ってしまいました。「自然に還れ」とか、「いのちは大事」みたいなメッセージは、父親と一緒。メインのキャラが農業をやるところなんて、父親に媚びを売る息子のイメージがちらほら出てしまってます。映画はまとめられましたが、父親を乗り越えていくんだ、という気概にかける作品です。まあ、こんなもんなんでしょう。ということで、一つよろしく。