op.ローズダスト
重層的な構成、流れるような戦闘の描写に、圧倒されましたね。
映像がまるで、浮かんでくるようでしたよ。
ラスト近くの格闘は、これまで読んだ中で最高だと思っていた
高村薫先生の「リヴィエラを撃て」で、
ノーマンが鬼気迫るピアノ演奏を見せる日本公演のシーンを
超えた感じもしております。
なんのこっちゃ、と言う方もいらっしゃるでしょうが。
福井先生の作品は、亡国のイージスをやっとこさ、読んで
終戦のローレライを数ページで挫折してから、
あんまり手に取らないでおりました。
なんというか、もってまわったような文体が好きになれなかったからなんですけど。
たとえば、ローレライの、彼女、とかいうところね。
イージスでは、もうこれは、マンガでしょう、とか、思ってしまって。
しかし、ローズダストは、人物の設定がいいなー、と思いました。
それと、新しい言葉、ね。
福井先生は、30代後半で、いってみれば、ガンダム世代なんですけど、
この世代から見た今の日本像を世の中に送りつけたような気がして、
非常にうれしいです。